レイとミーコ
2009年 01月 27日
我が家の子供達は、この寒さにもめげず、元気に活動中だ。
なにやらみんな忙しそうだ。
「おかあさん、これ見て…」と右手の小指を痛そうに見せにきたのは、末っ子ミーコだ。
私は心臓が止まりそうなくらいドキドキしながら、なるべく平静を装って
「どしたん?」
「突き指かなあ…」 曲げるとズキっとするらしい。少し腫れもある。
「だから、やめときなさいって言ったやろ」 ミーコをこんな目にあわせたボールが
もし目の前にあったら、私はきっとそれをギタギタにしただろう。
先日末っ子ミーコが突然バレー部に入りたい、と言い出した。
親友のしーちゃんから、しつこく誘われていたせいもある。体験入部に行って二日目、
ちょっと強いボールをトスしようとして、しくじったらしい。
一日目の夕方、と言っても練習の終わる午後7時ごろ小学校の体育館にミーコを
迎えに行った。その日は男子バレー部との合同練習だった。
ミーコの通う小学校の男子バレー部は、全国大会出場の常連チームだ。
その練習は半端ない。真ん中のコートに男女が別れて入り、試合みたいなことを
していた。その迫力たるや、私は思わず息を飲んだ。(早くミーコ連れてかえろっと)
体育館の入り口近くでは、監督が低学年にレシーブの特訓中だった。
この監督はさすが常勝チームの監督だけあって、その厳しさは有名だ。
こそこそとその横を通り抜け、ミーコのいる奥の方へと行こうとしたら、
「あ~ミーコのおかあさん!今日はどうしました?」
バッチリ見つかってしまった。「い、いやあ、ミーコが体験入部でお世話になってるんで」
「そうですか。いいところで会った。おかあさんにお願いがあってですね…」
素に戻った監督は、ちょっと厳しいところもあるけど、おおらかな性格で、笑うと
ペコちゃんに似ている、普通の女の先生だ。レイが6年生の時の担任だった。
聞けば、レイの卒業式の時のビデオを撮ってたら、見せてほしい、とのこと。
あの時歌った歌がとても良かったので、今度卒業式でぜひとも歌わせたいと言う
先生がいるのだとか。
そんな話をしながらも、先生は生徒相手にバンバンボールをうちまくり、
「こら~ちゃんと獲れ~」と怒鳴りまくる。
「ああ、あれ良かったですよね~私は撮ってないんですけど、メイママに聞いてみますね」
と言った途端、あの時の状況が蘇って、ちょっとウルってきた。
この体育館のあの舞台で、今ミーコがなぜかしら小さい子とボールで戯れている
あの舞台で、レイたちは、卒業式にあの歌を歌ったんだ。
歌い終わったレイたちは、ひな壇の一番上から、横一列に手をつないで、一段一段、
ピョン、ピョンと降りてきた。さっきまで、涙を流しながら歌を歌っていたのに、
今はスッキリした顔をして、みんなでニコニコ笑いながら、ちょっと胸を張って、
一段一段降りてきた。
一番下の最後の段をそれまでよりもピョンと高く飛び降りて
体育館の真ん中の通路を今度は縦に並んでこちらに向かって歩いてきた。
その最後のピョンで下に降りたあの瞬間、私は心のなかで、
(終わったか)と思った。レイたちのこの時代が今終わった。
元気いっぱいの子供達は、先生が大きな気持ちで受け止めてくれたおかげで
毎日毎日楽しそうだった。調子にのりやすい子供達をある時は必死でブレーキを
かけて、先生は見事に調教してくれた。そう、言葉は悪いけど、調教。
いつもいつも「いやあ、いい!この子たちはいい!」と言ってくれた。
レイたちのそんな時代があの時、ピョンと飛んで着地した瞬間に終わった。
先生、そのレイたちが、今中学で大変なんです。将来に対する不安や友達との意見の
違いや数学の難解さやほのかな恋ごころや、部活の忙しさや、そこへもってきて
ありあまるパワーは全開で、レイたちは毎日毎日すさまじい日々を過ごしています。
全力でぶつかっても、今はすれ違うばかりの中学校の先生との格闘に、毎日グッタリし、
そのうち、あきらめ、それが大人になることなのか、と今そんな時代をレイたちは
歩いています。先生、先生なら、どうやってあの子たちと向き合いますか?
と、先生の横顔見ながら、そう思った。そう聞いてみたかった。
でも、先生、レイは毎日笑っています。時々泣いているみたいだけど。
先生、レイは元気です。と、その一言だけでも言えばよかったかなと思った。
末っ子ミーコは、突き指したところにシップをして、「治ったらまた行くからね」と
懲りてない様子だ。「合唱部はどうするの?」 「う~ん、大丈夫。両方やる」
とりあえず、5年生になってから、もう一度考えよう、ってことで落ち着いた。
スポーツをするのは、子供にとってはいいことだと思うんだけど、親にとっては
これは大変なことで。経済的にも精神的にも。ミーコには悪いんだけど、
ケイさんの時にイヤッっていうほど、経験したもんだから、私としてはどうも気がひける。
ミーコに言ってみたところで、わかってくれるはずもないことだけに、あ~頭がイタイ。
その経験談は、またの機会に。あ~ほんとに頭が痛くなってきた。
なにやらみんな忙しそうだ。
「おかあさん、これ見て…」と右手の小指を痛そうに見せにきたのは、末っ子ミーコだ。
私は心臓が止まりそうなくらいドキドキしながら、なるべく平静を装って
「どしたん?」
「突き指かなあ…」 曲げるとズキっとするらしい。少し腫れもある。
「だから、やめときなさいって言ったやろ」 ミーコをこんな目にあわせたボールが
もし目の前にあったら、私はきっとそれをギタギタにしただろう。
先日末っ子ミーコが突然バレー部に入りたい、と言い出した。
親友のしーちゃんから、しつこく誘われていたせいもある。体験入部に行って二日目、
ちょっと強いボールをトスしようとして、しくじったらしい。
一日目の夕方、と言っても練習の終わる午後7時ごろ小学校の体育館にミーコを
迎えに行った。その日は男子バレー部との合同練習だった。
ミーコの通う小学校の男子バレー部は、全国大会出場の常連チームだ。
その練習は半端ない。真ん中のコートに男女が別れて入り、試合みたいなことを
していた。その迫力たるや、私は思わず息を飲んだ。(早くミーコ連れてかえろっと)
体育館の入り口近くでは、監督が低学年にレシーブの特訓中だった。
この監督はさすが常勝チームの監督だけあって、その厳しさは有名だ。
こそこそとその横を通り抜け、ミーコのいる奥の方へと行こうとしたら、
「あ~ミーコのおかあさん!今日はどうしました?」
バッチリ見つかってしまった。「い、いやあ、ミーコが体験入部でお世話になってるんで」
「そうですか。いいところで会った。おかあさんにお願いがあってですね…」
素に戻った監督は、ちょっと厳しいところもあるけど、おおらかな性格で、笑うと
ペコちゃんに似ている、普通の女の先生だ。レイが6年生の時の担任だった。
聞けば、レイの卒業式の時のビデオを撮ってたら、見せてほしい、とのこと。
あの時歌った歌がとても良かったので、今度卒業式でぜひとも歌わせたいと言う
先生がいるのだとか。
そんな話をしながらも、先生は生徒相手にバンバンボールをうちまくり、
「こら~ちゃんと獲れ~」と怒鳴りまくる。
「ああ、あれ良かったですよね~私は撮ってないんですけど、メイママに聞いてみますね」
と言った途端、あの時の状況が蘇って、ちょっとウルってきた。
この体育館のあの舞台で、今ミーコがなぜかしら小さい子とボールで戯れている
あの舞台で、レイたちは、卒業式にあの歌を歌ったんだ。
歌い終わったレイたちは、ひな壇の一番上から、横一列に手をつないで、一段一段、
ピョン、ピョンと降りてきた。さっきまで、涙を流しながら歌を歌っていたのに、
今はスッキリした顔をして、みんなでニコニコ笑いながら、ちょっと胸を張って、
一段一段降りてきた。
一番下の最後の段をそれまでよりもピョンと高く飛び降りて
体育館の真ん中の通路を今度は縦に並んでこちらに向かって歩いてきた。
その最後のピョンで下に降りたあの瞬間、私は心のなかで、
(終わったか)と思った。レイたちのこの時代が今終わった。
元気いっぱいの子供達は、先生が大きな気持ちで受け止めてくれたおかげで
毎日毎日楽しそうだった。調子にのりやすい子供達をある時は必死でブレーキを
かけて、先生は見事に調教してくれた。そう、言葉は悪いけど、調教。
いつもいつも「いやあ、いい!この子たちはいい!」と言ってくれた。
レイたちのそんな時代があの時、ピョンと飛んで着地した瞬間に終わった。
先生、そのレイたちが、今中学で大変なんです。将来に対する不安や友達との意見の
違いや数学の難解さやほのかな恋ごころや、部活の忙しさや、そこへもってきて
ありあまるパワーは全開で、レイたちは毎日毎日すさまじい日々を過ごしています。
全力でぶつかっても、今はすれ違うばかりの中学校の先生との格闘に、毎日グッタリし、
そのうち、あきらめ、それが大人になることなのか、と今そんな時代をレイたちは
歩いています。先生、先生なら、どうやってあの子たちと向き合いますか?
と、先生の横顔見ながら、そう思った。そう聞いてみたかった。
でも、先生、レイは毎日笑っています。時々泣いているみたいだけど。
先生、レイは元気です。と、その一言だけでも言えばよかったかなと思った。
末っ子ミーコは、突き指したところにシップをして、「治ったらまた行くからね」と
懲りてない様子だ。「合唱部はどうするの?」 「う~ん、大丈夫。両方やる」
とりあえず、5年生になってから、もう一度考えよう、ってことで落ち着いた。
スポーツをするのは、子供にとってはいいことだと思うんだけど、親にとっては
これは大変なことで。経済的にも精神的にも。ミーコには悪いんだけど、
ケイさんの時にイヤッっていうほど、経験したもんだから、私としてはどうも気がひける。
ミーコに言ってみたところで、わかってくれるはずもないことだけに、あ~頭がイタイ。
その経験談は、またの機会に。あ~ほんとに頭が痛くなってきた。
by morinotomosibi07 | 2009-01-27 12:40 | 四女レイのこと