ユリ氏の珍道中

我が家の三女ユリ氏もこのところ忙しい。

先日、あるオーディションのため、単身花のお江戸に乗り込んだ。

体はデカイのだが、なんせ精神年齢がそれに追いついていかないユリ氏には

なにもかもが大チャレンジだ。

出発の日が少しづつ迫ってきたある日、「おかあさん、そろそろ荷物まとめた方が

いいかな?」 「まだ早かろう。あと一週間もあるし」 「そやな」

そして、前日、「おかあさん、そろそろ荷物…」  「って、あんたまだ用意してないのぉぉー」


福岡空港からの格安の切符がとれたはいいが、

「おかあさん、福岡空港って国際線と国内線あるやろ?どっちに行けばいいんかな?」 

「あんた、どこに行くつもりかい。国内線に決まってるやろ!!」

「わかってるって。冗談やん、ジョーダン!!」

うそつけ!その不安そうな顔はマジやったやろ。


東京に住む長女リサのところに滞在することになっていたのだが、羽田から

リサと待ち合わせたJR品川駅までは、一人で行かなければならない。

電話で何度も行き方を説明されたユリ氏は、顔をひきつらせながらも

「まっなんとかなるやろ。」

私はその日、心配なので、福岡に着いたころ、羽田についたころ、とユリ氏に

いちいち電話してみた。ふむ、ふむ、順調に行ってるようだな。

さて、そろそろリサと落ち合ったかな、と思われる時間にリサに電話してみた。

「もうユリ氏と会えたかな?」 「それがな、おかあさん。品川駅で会えたんや。

ユリ氏がボーっと立ってたわ。そんでな、今度山の手線のホームで私の友達と

待ち合わせててな、その友達が向こうの方から走ってくるのが見えたから、

丁度入ってきた電車に、(これに乗って、乗って!)って手で合図したんや。

友達もそれにうまく乗れたから、ほっとして横みたらな…あんな…

ユリ氏が乗ってないんや…」  「ええええー」 「まさかの展開やわ。(次の電車に

乗れ!!)って今メールしたとこ。乗ってるかなあ」 「ええええー」

「あー電車きたー!!あーユリ氏乗ってるー」  

と、こんな具合だ。大丈夫なのか?


その夜、ユリ氏に東京の感想を聞いてみた。「どうよ。都会は」

「あんな、おかあさん。東京はなんでも高いなあ。だって、ナスビが一本198円で!

198円!」  「他に感想はないんかい?」 「あんなあ、カブも高い!」

「へっ?カブ?」 「そうカブ。大根みたいやけど、ちょっと短い、ほら、あれあれ」

「野菜のカブぐらいわかっとるわい!むしろ、株価がどうのとか、そっちの方かと

思うやろ。もっと他に感想はないんかって聞いとるんじゃ!!」

と、こんな調子だ。


次の日のオーディションは、恵比寿であったらしい。リサは仕事なので、一緒に行って

あげられないからと、前日にユリ氏を会場まで実際に連れて行ったりしたのだが

あまりに心配なので、仕事の時間をずらしてもらって、結局ついてく事にしたらしい。

リサの友達曰く、それがますますユリ氏の成長をジャマしているのでは、ということだ。

今回は二次審査なので、ウォーキングと面接があった。ウォーキングの方は、ユリ氏

によると、自信があるらしい。問題はトークらしい。テンぱると自分でも何を言ってるのか

わからなくなるらしい。普段でも噛み噛みのトークだけに、これは厄介だ。

審査員の人に「特技は?」と聞かれ、とっさに、「中国語です!!」と言ってしまったらしい。

中国語って、あんた、高校で第二外国語の選択が中国語ってだけで、しかもちらっとしか

習ってないんやないかい?「おかあさん、中国語で私の名前なあ、シーチャン・ユーリー

って発音するんでえ。すごいやろ」っていつも言ってるけど、まさかそれを言ったんじゃ…

「シーチャン・ユーリーって言ったらな、みんな爆笑やったあ。ハハハ」

弾けもしないけど、「ギターです」とか、あんたが好きな「絵を描くことです」とか

一応家庭科部なんだから「料理です」とか、他にあったやろ。

そんなこんなだったが、無事オーディションに合格して、来月の8日に行われる

あるファッションショーにモデルとして参加することにあいなった。

意気揚々と帰ってきたユリ氏は、さすがにかなりお疲れモードだったが、

「いい経験やったね」と言うと、満足そうに「うん」と頷いた。

そして、なぜかしら、お土産は博多名物「博多通りもん」だった。

東京へ行ったんだから、そこはそれ、人形焼とか東京バナナとか、いろいろあろうに。

次回の珍道中が楽しみだ。
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by morinotomosibi07 | 2009-01-29 14:04 | 三女ユリのこと  

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