ラクテンチVol.2

「ラクテンチ」のつづきです。

そろそろプールにも飽き始めた子供たち。次の獲物は、もちろん園内の乗り物だ。
とくとく乗り物券を各自購入している。
自分たちで窓口で購入したのだが、「とくとく乗り物券ください」と言った子供に続いて
「とくとくもり下さい」と言った子がいた。
みんなで「とくとく乗り!!」と突っ込んだが、またしても「とくとくもり!」と言っていた。
また同じように突っ込んだが、係りのお姉さんは笑いながら、「とくとく乗り物券ですね」と
優しく言ってくれた。
しかし、子供たちはしつこく「とくとくもりって、丼かよ~」と結構その話題を引っ張っていた。

「はあい!みんなは乗り物思いっきり乗っておいで~わたしゃあ、ちょっくら温泉入ってくるわ」
名案とはこのことだ。プールサイドから、「ゆ」と書いたのれんがゆらゆらとはためくのが見えたのだ。
それは明らかに「ここいいよ~」と私を呼んでいた。
あそこで、ひとっ風呂あびて、そのあと、休憩所で寝っころがって本読もう!

「集合は二時間後にさっきのゲートね~じゃあね~」と子供たちを見送り、いざ温泉へ。
以前は確かいくらか料金がかかったはずだが、今は無料だ。
しかもリニューアルになって、二階は展望風呂、一階は露天風呂になっている。
抜群のロケーションにやや熱めのお湯。湯船は広々だし、人は少ない。言うことないやね。

温泉からあがり、外のベンチで涼んでいると、どこからか「奥さ~ん」と呼ぶ声が。
「奥さ~ん!こっちおいで~」 声の方を見ると、見知らぬおばさんが手招きしている。
「えっ私?」と自分で自分を指差すと、「そうそう、あんた、あんた。こっちこっち。」
近づいて見ると、さっき温泉でちょこっと言葉をかわしたおばさんだ。
「ここいいよ~涼しいよ~」
畳じきでテーブルが置いてある休憩所だ。おばさんはそこで娘さんとお孫さんらしき子供たちと
カキ氷を食べていた。
「まっゆっくりしていきよ。じゃね。あっそうそう、この扇風機にあたりよ。
ただし、これ、てどうなんよ、てどう。帰る時、自分で消してな。」と言って、
おばさんは立ち去っていった。

「てどう」ってもしかして「手動」のこと?しかも、おばさん、つけといてくれればいいのに、
なんで消した?と思いながら、扇風機を手動でつけて、そこで休憩することに。
取り出した本は「食堂かたつむり」
この本がおもしろかった。まだ読んでない方はぜひ。この本を読みながら、これって
映画になったらおもしろそうだ、と思っていたら、後で知ったことだがもうクランク・イン
しているらしい。ヒロインは柴咲コウ、その母役は、余貴美子。
う~ん、ピッタリだ。

本を読みながら、時々あたりを見渡すと、親子連れ、カップル、お孫さん連れ、など
いろんな方がのんびりとそぞろ歩いている。これがここのいいところだ。
どっかのテーマパークや大きな遊園地にいる人のように、ギラギラしたところがない。
大きな期待も希望も持たず、ただ現実をあるがままに受け止める。
ここに集った人々はそういった心境に違いない。
だから、私みたいな風呂上りのスッピンで、大きな扇風機の前で足を投げ出して、
おにぎりをほおばりながら、本をむさぼり読んでいるような人がいても、
誰も気にも止めないのだ。
また、「食堂かたつむり」の話に戻るが、この本の内容も、この場所で読むのに
ピッタリなのだ。なにもかもが絶妙のシチュエーションに私は久々に至福の時とやらを
満喫した。

(さっ、ちょっと早いけど集合場所に向かおう)と、扇風機を止め、立ち上がった。
途中、もう一度「ミーアキャット」に会いに行ったり、ペンギンを見たりしながら、
時間がまだあったので、もう一度木陰のベンチに座って、読書をした。
いやあ、これって、最高の遊びだ。大人の遊びと言っていいだろうか。
今でもこのときのことを思い出すと、言い知れぬ喜びがよみがえってくる。
また行こう。持っていく本をよく吟味して。

子供たちもことのほか満足気で「いい思い出ができたねえ~」と多いに盛り上がりながら
帰路についた。
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by morinotomosibi07 | 2009-08-23 14:27 | 好きなお店のこと  

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