まちの記憶に会いに行く

記憶のなかにある街は、大きな道路に車が行き交い、

数分ごとに電車が走り、飛行機が低く飛ぶ、騒々しい街。

それでも小さい頃は、あちこちに田んぼが残り、川が流れ、

小学校までの一本道は、とても長く感じた。

毎朝同じ道なのに、母に叱られてとぼとぼ歩く日や、友達が病気で

休んだ日や、パッツンパッツンのおかっぱ頭を男子にからかわれて

くやしい気持ちで歩く日は、見える景色が違ってた。

案の定、学校では、体操服忘れて、体育できずに体操座りで見学

させられたり、姿勢が悪いと先生に大きなものさしで背中をバシッと

されたり、給食をたべきれずに、一人だけ掃除時間も食べていたり、と

なんやかんやの事件に巻き込まれ、やっぱり同じように流れる時間なんて

なかった。だけど、夕飯までの長い長い放課後は、毎日毎日、路地で

ビー玉やゴム飛びして、それに飽きたら川に行って、亀をつかまえて、

それをあれは確かさゆりちゃんのママにいつもいつも見つかって、

「こらー、あぶないよ~」って。家に帰ったら、母に「あんた、また川に入ったやろ」

おばさん、今日もチクッテる。


どんどん田んぼもなくなり、川も汚水であふれるようになり、遊ぶ場所も

なくなったけど、セーラー服で通学途中、記憶のなかのその街へ、いつでも

タイムスリップできた。土曜日のお昼は迷わず、友達とお好み焼き屋さんへ。

話題は好きな男子の話とアイドルの話。「昨日チューしちゃった!」っていう

友達の話に腰が抜けそうになった。


高校は珍しく私服OKの学校だったので、自習時間に抜け出して

紅茶専門店で、生意気にカリプソ・ティーとやらを注文した。

ちょっと郊外の素敵な素敵な街。


今のだんなと知り合った街は、いまでも一番大好きな街。

何度も何度も通った、路地裏の洋食屋さん。中華街。

山の手のBAR。海沿いのレストラン。小さなパン屋さん。

でも、地震でみんな粉々に。


はるか昔のことだけど、今も記憶のなかにある街は、どれも鮮明に

残っていて、目を閉じれば、いつでもその街をフワフワと散歩できる。


ここ別府は、家族と必死で生きた街。と、80位のおばあさんになった時に

思い出すだろう。山の緑やあふれ出しそうな海や、湧き出る温泉に

身も心も癒されたことを。なつかしい路地裏や古い建物にドキドキしたことを。

シャイで優しい人たちに励まされたことを。

今はまだ無我夢中。振り返る余裕はないけど、

ひまな時、別府の街をブラブラ歩いてみよう。

あとで思い出せるように、記憶のなかに閉じ込めるようにして、

お散歩してみよう。


「まちの記憶に会いに行く」 という、別府の路地裏おさんぽのガイド本が

発売されました。(一冊300円) 

「BEPPU PROJECT」の方たちが、女性ならではの

素晴らしい感性でつくられた素敵な本です。

当店にも置かせてもらっています。本を片手に、別府の街を

お散歩してみませんか。

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by morinotomosibi07 | 2007-07-19 13:36  

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