かわいいちーちゃん

つ・づ・き

ある日、昼休みに仕事から戻ると、長女が

「今日朝からとっても可愛い人が来たんでえ」 「そう、そう」

と主人と二人して上機嫌。

「顔をこーんなに近づけて、しゃべんるんやあ」 「そう、そう

ちょっとドキドキしたなあ」

それから何回か見えてくれたんだけど、いつも私のいない時。

どんな人かなあって思ったのが、ちーちゃんとの不思議な出会いでした。

長女のことをとても気にいってくれて、ちーちゃんが来た日は

長女はとてもうれしそうだった。長女のことをよく理解してくれて、そのうち

色々と話すようになって、長女は主人と口論になった後にちーちゃんに

会うと、ポロポロと涙をこぼしたりもしてたらしい。

長女が訳あって、ここを出て行くことになったときも、きっとちーちゃんには

何かを伝えに行ってるだろうと思って、早くちーちゃんがお店に来てくれないかと

首を長くして待ってたあの日、とうとう私はちーちゃんにほんとに出会うことが

できました。私は接客していたので、最初は主人とそれこそ顔を近づけて

話しこんでいましたが、主人はドキドキしてきたのか、いつのまにか

奥へ入ってしまい、私はようやくちーちゃんと言葉を交わすことができました。

長女のことをあれやこれや話すうち、ちーちゃんは自分も昔、親と衝突したことや

悩んだことを、一生懸命の笑顔で、無理して高い笑い声をたてながら

話してくれました。家族以外でこんなに長女のことを心配してくれる人を見たのは

初めてだった。

それからもちーちゃんが来てくれた時は、私達は時間も忘れて、夢中で

話すようになり、いつしか長女のことよりもお互いのことを話すようになりました。

今まで歩いてきたほんのちょっとの道のりの中で、

グチャグチャになってしまった心の中を整理していくように、次から次からたまっていた

ものを引っ張り出しては、お互いの言葉で答えをさぐり、これが正解?これが正解?

と確かめあいました。会えない時は心配だったけど、今自分と闘っているんだなと思って

私もがんばりました。小さな傷や悲しみをいっぱい抱えたちーちゃんを

男だったらここで力いっぱい抱きしめるのにと、男でないことがとても悔しかった。

「もう大丈夫」と強がりを言って帰る後姿を見送りながら、そう思った。

幸か不幸か、ちーちゃんが来る時は、お客さんが全くと言っていいほど見えないので

それをいいことに、何時間も話しこんで、何回かそれを繰り返すうちに

私達はちょっとずつ強くなっていきました。

満たされない何かを埋めあったり、傷をなめあったり、そんな関係もアリかなと

よろめく足で踏ん張ろうとする時フッと思ったけど、それじゃ前に進めないなと

思って、満たされないのは求めすぎるから、傷は自然と治るんだから、と

カラカラの心とズタズタの傷口見せながら、ヨロヨロしながらでも前に

歩いて行こうと、最後はそんな答えになったのかな?

そして、ほんとにいっしょに歩いていく人の胸にちーちゃんは帰っていきました。

このちーちゃんとはーちゃんとの出会いもまた、とんでもなくおかしいものだった

ことは、前に書いたとおりです。

このお店を通して巡り合えた二人との思い出や、これからに想いをはせる時、

心が寄り添える人がいることで生きていけることのありがたさを感じずには

いられません。

出会いといえば、他にもまだ…。そう、あの人とは…



                                       つ・づ・く
                                       
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by morinotomosibi07 | 2007-12-21 11:54 | もりとものこと  

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