パパとママへ

およそ5年ぶりに実家の両親がこちらに遊びに来た。

父は随分と痩せてしまい、母は随分と背中が丸くなった。

一年半前の祖母の葬儀には顔を合わせたはずなのに、その時はそれどころでは

なかったのか、ちょっと年老いた姿に驚いた。

でもその姿とは反対に以前より元気な母の様子にもっと驚いた。

家に着くなり、台所をピカピカに磨き上げ、洗濯物を干し、階段を拭き、

お昼ごはんをつくり…

聞けば(悠々自適とはいかないまでも好きなことを楽しみ、友達にも恵まれ、

子供たちもいろいろ気遣ってくれ、今が一番幸せ)とか。

心配事はないわけではないのだろうけど、私のこともまだまだ心配なんだろうけど、

母が一人の人間として今初めて歩いているのかもしれない、とそのふっきれた姿に

自分のなかに母に対する初めての感情がわいてくるのを抑えられなかった。

ワンマンで暴君ともいえる舅に仕えた二十数年。それは優しかった父がいたからかも

しれないけれど、むしろ男としては優しすぎる父を傍でずっと支えてきたのは

この強い強い母なのだろう。言いたいこともいえず、ひたすら耐えて耐えて生きてきた

この我慢強さは、いつか自分の人生を自分自身で歩く時の礎として、ずっと

培ってきたものなんだろう。

今日の今日まで、この人を一人の人間、一人の女と

して見ていなかった私は、単に優しいだけの母を求めていただけで、

この人の苦しみや強さを何もわかっていなかった。

今、随分と丸くなった背中だけど、意気揚々と自分の人生を歩く姿に

私はやっと、やっと(今までありがとう)と心から母に言うことができた。

(自分の人生を思いっきり楽しんでね、親孝行できるかわからないけど)と。

父と二人並んで帰っていく後姿を見送りながら、今までなら、(元気でね、また来てね)

と言いながら手を振ったけど、初めて(あなたたちの子供でよかったです)と

小さな後姿に何度も何度も心の中で叫んだ。

一つだけ願い事が叶うなら、両親を少しでも長く健康で幸せでいさせてほしい。
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by morinotomosibi07 | 2008-08-17 22:14 | 自分のこと  

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