2008年 07月 02日 ( 1 )

 

さよなら、ミセス・ターシャ

アメリカンブルーの花がベランダや小さな庭のスペースにチラホラ

咲き始め、その隣の薄いピンクや白の日々草の可憐さが

ブルーの花をいっそう爽やかに盛り立てている。

あとは黄色や濃いピンクのポーチュラカが咲きそろえば、

暑い暑い夏がやってくる。


主を失ったあの庭はどうなるんだろう。ミセス・ターシャのあの庭は。

彼女の死をきっと世界中の人が驚き、悲しみ、そして見つめているだろう。

折りしも大分のトキハで彼女の催しが開かれている。まるで追悼展のように。

「この人の暮らし方をみてみろよ」と言って、ダンナが一冊の本をくれたのは

いつごろだっただろう。「こんな暮らしが理想だな」と二人でかわるがわる眺めた。

その暮らしぶりは理想とか憧れとかを通り越して、私にはあまりに眩しく、崇高に

思えて、見れば見るほど足元をすくわれそうな気持ちになって、いつも

途中で本を閉じた。たくさんの物を作り出すゴツゴツとしたふしくれだった

指が、何が大事かを物語っていた。

粉だらけのキャニスターもピカピカの銅のやかんも

たくさんの手編みのかごも、彼女のまわりにあるもの全てに意味があり

いつも出番を待つ子どものように見えて愛おしかった。

もし私が同じものを持ってもそんなふうに愛せないだろう。

そんな丁寧で飾りのない真面目さが眩しかった。

これほどまで文明が発達した現代において

18世紀の農家の暮らしを忠実に再現するその暮らし方には

ある程度のお金と多くの人の力を必要としただろう。でも彼女があえてそういうことに

自分の財産や命をかけることを選んだことはとても尊いことであり、

多くの人に豊かさの意味を投げかけ感動を与え、歴史や伝統を伝えようとした

その生涯は、ほんとに意味のあるかけがいのないものだったと思う。

だれかが彼女の遺志をついで、これからもあの暮らしを守り続け、伝え続けてほしい。

もうとっくに現代には生きていなかった彼女は、だからこそこれからも永遠に

生き続け、どこかで同じように暮らしているのかもしれないけれど。

心よりご冥福をお祈りします。
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by morinotomosibi07 | 2008-07-02 14:21 | 世の中のこと