2008年 12月 22日 ( 1 )

 

珍客

私の仕事が終わりを告げる頃、決まって末っ子ミーコから電話が入る。

ちょっと前までは「おかあさん、今どこ?」 仕事場に決まってるのに。

最近は、「今どこ?」に変わって「今日買い物行く?」

「もうすぐ帰るから、待っててね」 

めまぐるしい仕事場で、この声を聞くと、ホッとする。というか、一気にもうひとつの

現実に引き戻される。

ミーコの姉達もそれぞれの活動に忙しく、家に帰ると私同様、ミーコの顔を見ると

ホッとするようだ。四女レイには、いっしょにお風呂に入ろうとせがまれ、三女ユリ氏には

「おーおーミーコは今日もかわいいぞ」と抱き上げられ、次女エリさんには

ただただギューッと抱きしめられ、ほっぺたを摺り寄せられている。

私もダンナに見つからないように、力いっぱい抱きしめる。まるでペットだ。

そのミーコが。まさか…

ダンナの知り合いのオジさまが我が家に遊びに来た日のこと。

イケル口だとは聞いてはいたが、お酒のピッチはとどまるところを知らず、

かなり出来上がってきた様子。社会的にも立派な、というか、地位も名誉もそれなりに

あるお方らしいのだが、酔っ払ってしまえば下ネタを連発するただのエロオヤジだ。

「君はいくつかな?」とミーコにからみだした。「10歳です」

「ほほー。で、彼氏はいるのかな」 10歳だぞ。いるわけねえだろ。

「はい」  なにぃー!!はい、だとー!! 「名前はなんというのかな」

「りきや」 「ほーいい名前だ。おかあさん、知ってた?」 「し、し知りません」

「彼は優しいかな」 「はい」  「優しいかどうか、一度ベッドに入ってごらん。

よくわかるから」 「はい」 ミーコ、頼むから真顔で「はい」と返事するのはやめてくれ。

「それからね、おかあさんのように同じ男の子供を6人も産むなんて、そんな不幸な

ことはしてはいけないよ。全部違う男の子供を6人産みなさい。ああ、この子はあの時の…

ああ、こっちの子はあの時のあの人の子ね。これが幸せっていうもんだよ」

「はい」  だから、ミーコ、背筋をピンと伸ばして目をかっと見開いて、そんな真顔で

聞くんじゃないってば。そういえば先生が「みーちゃんは、授業中先生の話を聞く態度が

ほんとに素晴らしい」と褒めてくれたけど、ここは教室じゃないんだから、いいのよ。

しかも、いつもならとっくに寝てる時間じゃないか。今日はどうしてそんなに目を

ランランとさせてるんだ?オジさまの相手はもういいから寝てくれ。

その後もオジさまの訳のわからぬ人生訓は延々続き、わかってるのかどうなのか

それをミーコは真顔で聞いては「はい」と答えていた。

好きなテレビが終わってリビングにやってきたあとの3人の娘も

この会話を聞き、ぶったまげるやら、おかしいやらで、首をかしげながら、オジさまを

眺めていた。でもやっぱり、オジさまの言葉に皆「はい」と素直に答えていた。

あとでダンナに聞いたけど、「いい娘さんたちだ」としきりに褒めていたらしい。

ありがとうございます。
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by morinotomosibi07 | 2008-12-22 14:35 | 末っ子ミオのこと