2009年 05月 13日 ( 1 )

 

ネイティブ

常々、ああなりたい、こうなりたい、と思うことは山ほどある。

それはあくまでも、はかない望みだったり、憧れだったりするわけで、

実現するための努力や研究はしようとは思えど、していない。

「常々思う」ってことは、なにもしていない結果、ただ頭の中で思い描くと

いうことに他ならない。その常々思う中に、「英語がしゃべれるようになりたい!」

というのがある。最初にそう思ったのが、中学1年生のときだから、はや?年。

ものすっごい前だ。英語の女の先生にとてもかわいがっていただいて、

おかげで、英語が好きになった。成績にはあまり反映されなかったけれど。

休日にはおうちにも呼んでくださって、ケーキなんぞ焼いてもてなしてくださった。

「おお、君が噂のウエコちゃんか。ささ、こっちへ来ていっしょにテレビを見よう」と

先生のダンナさまに言われ、いっしょに芸能人の運動会かなんかのテレビを見た。

「ほー!にしきのあきらはやっぱりダントツに足が速いねえ~」とはしゃぐダンナさまを

見て、(なんだ、普通のおじさんだ)と、緊張がとれたのを覚えている。

先生はいつもピチっとしたひざ上のタイトスカートを履いていて、

その白い細い足と、素晴らしく発音のいい口元を、授業中、かわるがわる眺めた。

(私も大人になったら、あんなスカートを履こう)だとか

(あんなふうに英語がしゃべりたい)とか思ったもんだ。

遠足で奈良に行ったとき、外国人の一団が私の所にやってきて、なにやら英語で

ベラベラ話し出したことがあった。私は困って、大声で「せんせえ~!!来て~」と叫んだ。

先生は「どうしたのウエコちゃん」とこぼれんばかりの笑顔で言った。

先生はスラスラと外国人の方々と会話し、そしてまたこぼれんばかりの笑顔で

「あなたのその帽子がとってもかわいいって、そう言ってるのよ」と言った。

まあね。そういうことね。たしかに。たしかに、自慢じゃないが、あの時かぶってた白い帽子は

かわいかった。そしてよく似合ってた。あの当時アイドルがよくかぶっていた、

キャスケットというのか、あの白い帽子だ。まあ、あれはあの年代の女の子なら

誰がかぶっても、かわいかったにちがいないのだが。なんでも一番にマネしたがる

たんなるミーハーな奴がこの私だったってことだけで。

大人になって神戸にいた頃は、外国人が多い土地柄か、

よく道を訪ねられたりしたもんだから、やはり英語がしゃべれたらなあ、と切実に思った。

今は、やはりここでも外国の方が多く住んでおられるので、英語が話せると

なにかしらの人助けになりはしないかと思ったりする。

なもんで、図書館で英語の本を借りてきた。そのなかにおもしろい本があった。

「英語音」という本。こうすれば聞き取れる、話せるようになるネイティブ英語のコツが

書いてある。例えば、「fax」はファックスでは通じない。「フエーックス」

「bag」はバッグではなく、「ベエーッグ」 「animal」は「エニモゥ」

「casual」はカジュアルではなく「ケージュオゥ」 「bank」は「ベーンク」

「hot dog」はハッダッ 「doctor」はダクター。

と、こんなふうに今まで母音を日本語で発音していたところを

ネイティブらしく発音すると、あ~ら不思議、英語っぽいわ。

aはエ、oはア、uはア。とこのみっつを覚えれば英語音になるというわけだ。

試しに発音してみてください。それも大きな声で。伸ばすところは極端に長く、

切るところは極端に短く。すると、おやおや、英語っぽいでしょ。

日ごろから英語が得意だと豪語するダンナに出題してみたとことろ、

これが案の定、日本語の発音になっていて、私がことごとくこの本に書かれている

とおりに、修正してやった。最初は自信満々だったダンナが最後の方は

「なんか俺頭混乱してきた」と頭を抱え出した。

「でも、これでわかった。俺がネイティブな英語を聞き取れないわけが。」

といって、「どれどれ」と興味深げに本を読み始めた。

ただ「俺の英語はイギリス仕込みだからな。これはいわゆる米語だ、米語」という

訳のわからない言い訳をくやしまぎれに言ったりもしていた。

「tomato」をトメイトォというふうに発音したり、「radio」をレイディオと発音するのは

学校で習った。しかし、その他の単語の圧倒的多数は、日本語の発音でしか

教えてくれなかったのだ。文法や単語だけ一生懸命覚えて英語が話せないのが

日本人といわれるゆえんは、こういうところにもあるのだと思った。

意気消沈するダンナに比べ、私はこの本のおかげで、なんだか変な自信がついて

こういう線から責めてみるのもおもしろいなと思った。
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by morinotomosibi07 | 2009-05-13 15:05 | 自分のこと