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もりのともしびはこうして生まれた

約一年前のある朝、だんなが「おい、今朝、神がおりたぞ。ろうそくだ。ろうそく」

悪い夢でも見たのだろうと思い、だんなの方を見ると、

こりゃ、やばい。なにかひらめいた時の顔だ。

眉間にしわがよってはいるものの、いたずらっこのようなギラギラした

目に、口元には不敵な笑い。まじでヤバイです。

期待と不安でいっぱいの顔をして、私は次の言葉を待った。

「神のお告げなんだよ。ろうそく屋をやれって」

ちょっとお聞きしますが、あなたは常日ごろ「俺は神だ」って言ってませんでしたか。

じゃ、神のあなたに、他の神が降りたのですね。ふ~ん。へ~え。

「この家を建てた時、家に名前をつけただろう。ほらほら、ここに

書いてある。もりのともしび。」 たしかに。そう、木でできたこのまるで生き物の

ようなこの家に名前をつけた。ネームプレートもある。

「きのおうち もりのともしび」 グッデイでネームプレートのキットを

買ってきて、わたしがつくった。だから、その名前がどうした。

「だから、ともしびって言えば、あかりだろ。あかりと言えば、ろうそく。

さすが、神様はいいとこついたねえ」

あのー、もう一回聞きますが、ほんとに神様が言ったんですか。

「よし、ろうそく屋だ。いやキャンドルだな。キャンドル専門店」

去年の3月、突然だんなが仕事をリタイアし、再就職のあてなど

あるはずもなく、とりあえず、インターネットで中古のアナログのジャズレコードや

家具や雑貨のオークションをやっていた。これが安くて状態がいいと評判で

売り上げは良かったが、利益はそれほど上がらなかった。

この先、どうしようかと思っていたところに、ふってわいた、キャンドル。

いや、降りてきたのか、キャンドル。

話を聞くうちに、私もなんだか、これいいかもしれないという気持ちに

だんだんなってきた。以前から、うちに遊びにやってくる人たちに

「お店みたいな家」と言われていたせいもあり、そっか、ここで

やればいいのかと。長女も協力してくれることになり、さあ、大変。

なぜかしら、開店の日を10月20日と決めたもんだから、時間がない。

だんなは「俺の言う事は神の言う事だから、従うように」と

あれをしろこれをしろと言うばかり。あのね、人間はね、なんでも完璧に

できないんです。しかも、私はフルタイムで本職があるんです。長女にも。

いま思い出すと、頭がクラクラして倒れそうになるけど、神のお告げなので、

家族みんなで協力して、開店に向けて走り出した。

                                 つ・づ・く

by morinotomosibi07 | 2007-10-12 12:48 | もりとものこと  

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